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一瞬、さっきの事が頭をよぎり、何事もなく振る舞ったつもりだったが
「ぁ、あ…ごめ、ごめん!」
思い切り噛んでいた。
谷口絵里は単純に心配してくれているようで立ち上がる俺に手を貸してくれた。
「あの、この前階段でぶつかった……ですよね?」
「あ…あぁ、うん…」
俺は今しかないと覚悟して言った。
「この前は、ごめんな。…ほんまごめん。…怪我せぇへんかった?」
彼女は一瞬戸惑った様子だったが
「あー全然平気!あたし丈夫だから。」
彼女は片腕をぐるぐるしてみせ笑った。
げんきんなもので先ほどの事を忘れ心の隅々まで光に照らされたようだった。
彼女の家は俺がいつも通る通学路上にあった。
彼女と分かれてからも清々しい気分は続き江口の事も軽蔑対象の一つとなっただけだった。
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