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俺はその夜、何度も谷口絵里とのやりとりを思い出した。
「それじゃ高校に入ってこれで5度目なんや」
「うん、けど小さい頃からそうだったからねぇ。案外楽しいもんよ。」
聞けば谷口の父親の仕事の都合で小さい頃からよく転校を繰り返しているそうな。
「やっぱ友達とか出来にくいんかな?」
彼女は少し間をあけて
「そうね、たしかに一緒の思い出とか少ないから、その場は楽しく話してても寂し時もあったり……けど、考えてもしょうがないしねー。アタシあんまり考えないタイプなのよねー。」
(意外とにぎやかな人なんやなぁ………)
「あ、そういえばさぁ」
と彼女。
「何?」
「階段でぶつかった時、上から降りてきたじゃない?昼休みに何かやってたの?」
ぎくっ…
俺が正直に答えると、さすがに彼女も一瞬困った表情を浮かべたが
「明日、ご飯一緒に食べよっか。…………ダメかなぁ?」
(え~~~!!!なんで!?)
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