模試に遅刻しそうな朝は朝シャンをする暇すらない

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クソッ。今日はなんて最悪な日なんだ。今朝起きたら大雨が降ってたから駅まで車で送ってもらおうと思ったら、おふくろが急に「腰いたい」とか言い出した。 おやじは会社に出ちまってたし。結局その時点で俺にはやむを得ず駅まで歩いて行くしかなかったのだった。 おいおい考えてみてくれ。俺は浪人よ。今年こそは絶対キめてやるぜとかって意気込んでる若人よ。こんな身分の俺が予備校に遅れていいとか思っちゃってんの?母さん。 しかも今日は模試だぜ。もしこの遅刻が原因で実力を発揮できなかったら、来るべく今日に備えてウナコーワクールを瞼に塗りたくりながら半徹夜状態で勉強した昨夜の時間を返して欲しいよ。まあそのせいで寝坊した俺の責任でもあるからあまり強くは責めれないのだけれど。 俺は母親の「いってらっしゃい」に対して少しぶっきらぼうに「いってきます」と言って玄関を乱暴に閉じた。俺が外に出ると雨が俺のことを嘲笑うかのように一層激しさを増した気がする。雨雲氏ねや。 模試が始まる時間は八時半。残された時間は一時間とちょい。電車に乗っている時間を合わせるとどう考えても間に合わない。やべぇ。背中から変な汗がめっちゃ出てきた。
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