模試に遅刻しそうな朝は朝シャンをする暇すらない

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どうすればぁ・・・いったいどうすればいいんだ・・・・。なかなか電車内へと歩み出せない俺の苦悩を知ってか知らずか後ろのじじいに舌打ちされた。今すぐ張り倒したいと思った。 仕方なく覚悟を決めて一歩踏み出す。臭いを嗅いで欲しくない気持ち一心だったせいで何故か俺が息を止めてた。息を止めて欲しいのは女の子の方なのに。 案の定余裕で席を奪取することができた。俺はいつも電車内では絶対席に座りたくて、乗る前はまるで殴りこみに行く前のように心の中で気合いを込める。そしてやはり今日もいつもと同じく座れた満足感で思わず叫びたくなった。 ところが、事件は起きた。 な、なんとあの憧れの女の子がこちらに歩み寄り・・・おぉ!おおお俺の隣に座った!座ってしまったではないか!血湧き肉踊るううぅぅぅ! ・・・・ってこりゃ嬉しがるところじゃねぇ。なんてったって今日の俺は体臭において一味も二味も悪い意味で違うんだから。今まで一度もこんなチャンス無かったのに!あぁ神よいったい何故なんだ。どうして貴方は運命にそんないたずらを施すのか。 とりあえず俺はできる限り女の子と距離を置いて隣にいる昏睡状態の中年リーマンに接近した。どうか臭いよ、こっちに行ってくれ。エアコンのいたずらな風もお願いだから今日だけは味方しておくれ。
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