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サイレミアが狼花に対して反撃しようとしたときだ。
急に狼花がサイレミアから距離を取った。
何故だと思う前に理解出来た。
頭上から何かの気配がしたからだ。
そしてサイレミアの前、狼花がいた場所を寸分違わず何かが落ちた。
何かは分からない。
ただ、コンクリートの地面が狭く深く抉れている。
「フリスティナ!?」
懸命にリンシーナからの砲撃を避けていたカイが叫び、サイレミアはそれが今頭上にいる気配の名前だと理解した。
「皆さん! 次の世界へ飛ばします!」
フリスティナはそう言うと、一瞬で多数展開していたリンシーナの盾を破壊して、カイ達の足元に魔法陣を展開させた。
「サイレミア!」
カイが彼女を呼び、それに答えサイレミアは槍を狼花に向けて投げて牽制として走る。
対する狼花はその槍を避けると、サイレミアにでは無くフリスティナに向かった。
フリスティナは一切の回避や防御をしない。
余裕綽々ではなく、異世界の転送に集中していると言った所だ。
サイレミアが魔法陣に飛び乗り、異世界へのワープ時特有の風景が色褪せる中で、カイ達が最後に見たのは胴を輪切りにされたフリスティナだった。
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