180人が本棚に入れています
本棚に追加
「‥光?さっき俺の手…」
途中で言いかけて、俺はそれ以上そのことに触れないようにした
さっき払われた手を、片手で包み込むようにして握りながら。
貴方は言ってくれないね?
"さっきは手振り払っちゃってごめんな"
優しく俺の手を握り締めながら
いつもならそう言ってくれるはずなのに
いつもは感じなかったけど
今日は振り払われた右手が、すごく冷たく感じたよ?
「なあ、宏太‥右手どうしたの?」
「…え?」
「なんかさ、逆の手でずっと握ってるじゃん?そんなに俺の手が恋しい(笑)?」
”さっき光が振り払ったせいだよ!”
なんて、言えなかった
でも、どうして気づいてくれないんだろう
いつもなら、…、やっぱりすぐさま謝ってくれるのに
「可哀想な宏ちゃんに、俺の手をプレゼントしまーす!」
光はそう言いながら、包み込むように俺の右手を握った。
ふと貴方の目を見ると
やっぱり輝きは何処にもなくて
言葉ひとつひとつに、重みを感じた。
_
最初のコメントを投稿しよう!