闇のなか

6/7
前へ
/470ページ
次へ
「お前の姿見せちまっただろ?お前も売られちまうぞ」 「…何で、俺も人間なのにそんな事考えてくれるんだ?」 竜人は、黒ちゃんに出てくる魔物とは違って人間である俺を、何でこいつは守ろうとしてくれたんだろう? 「何でって…お前は自由に動ける。なら、ここから抜け出してオイラの家族に言ってくれれば、みんな助かる。早い話が伝言係になってもらいたかったんだぞ」 「なるほど…」 …まぁ、自分勝手な考え方だろうけど、みんなも助かると思えば仕方がないのか。 俺は自分を納得させて、竜人に巻きつけられている鎖に触れた。 今は暗くて見えないけど、さっき見たときには何か複雑な模様が刻まれていた気がする。 「【魔除けの鎖】…って、普通魔除けは魔物が寄らなくさせるためじゃないの?」 「…お前、図体はオイラくらいあるけど、持っている知識は赤ん坊並なのか?」 まるで俺に常識が無いような、かなり呆れている口調で竜人が言った。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

455人が本棚に入れています
本棚に追加