プロローグ

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「何で俺は日光浴びちゃいけないんだ?」 2人が食事を摂っているダイニングには、分厚い遮光カーテンがひかれている。 他の部屋も同様に遮光カーテンがひかれていて、少しは光が漏れているが、家の中は薄暗かった。 「何度も言ってるけど…あんたは日光にすごく弱いの。長い間浴びていたら倒れるから、日光浴びちゃダメなの」 「じゃぁ、親父はどこにいるんだ?」 母親の箸が、止まった。 「…」 「離婚していないし死んでないんだろ?どっかに出張してるの?」 「あの人は…帰ってこないわ。でもね」 母親の手が、少年の顔を撫でる。 「あなたの事を見守っているのは、確かなことなの」 少し悲しげな笑みを浮かべ、母親は答えた。
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