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「あれ?黒ちゃんはすぐに異世界の森にいたのに…」
少年は回りを見渡し、そして目の前の人物に気づいた。
その人物は全身白。
白い肌に白い髪、そして白いローブ。
怪しさ満点だが、異世界の人だから仕方がないと少年は思い、声をかけてみた。
「あの…」
ここはどこですか?と聞こうとしたが、槍を喉元に突きつけられた。
「小僧、貴様、どうやってこの世界に入ってきた?」
澄んだ高い声からして、白い人物は女だと分かる。
とにかく、警戒され槍を突きつけられているこの状況はピンチだ。
「何か母ちゃんが俺に異世界に行ける能力があるって言ってたの聞いて、そんで行きたいなぁ、って思ったらここにいるみたいな?」
「貴様が、【歪命者】の能力の持ち主だと!?」
「へ?【わいめいしゃ】?」
「…こちらの話だ。貴様の名は?」
「あ~…それなんだけど」
少年は困ったように眉を下げた。
「俺、名前無いんだよね」
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