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選挙戦の翌日。
朝、校門をくぐった所で声をかけられた。
「さとみちゃん」
どこから声が? と、思ったら、玄関口の向かって左側で神崎先輩が手を振っていた。
「おはようございます。どうしたんですか?」
「昨日、用事あるって言ったの覚えてる?」
「あ、はい」
正確には、今言われて思い出しました。すいません。
先輩が場所を変えようと言うので、靴を履き替え、朝は人気の少ない特別教室棟に向かう。
「そうだ! 先輩、当選おめでとうございます」
「ありがとう。自信はあったんだけど、ほっとしたよ」
すごい強気な発言なのに、サラッと言ってのけた。
この先輩、実はかなりすごい人なのかも知れない。
人気のなくなった辺りで先輩は足を止めた。
しばらく爽やかな笑顔で見つめられる。
「えーと、あのー、用事って…」
何か言いづらい用件とか?
「あぁ、用事って言うか。良かったら俺と―」
「会長になったお祝いに、カラオケに付き合ってくれないか?ってお誘いですよね、神崎先輩」
振り返ると、ビックリ。タカがいた。
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