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秋深し。
生徒総会も終わり、新生徒会が落ち着いたこの頃。
時々、廊下で神崎先輩とすれ違う。
のだけど、隣りでタカがすごい顔をするものだから、全然話ができてない。カラオケも結局お流れのまま。
先輩の歌、聞きたかったなぁ。
それを言うと、タカはすっごいブーたれた顔をする。
だけど時々、あえてそれを言う。
言うと、いつもアイドル系をノリノリで歌って踊るタカが、二人きりの時限定で男物を歌ってくれるから。
必ず1回に1曲だけなんだけど。
それを聞きたいが為に、機嫌が悪くなるのを承知で言う。私って悪い奴かも。
「ねぇ、タカ。最近カラオケ行ってないよね」
「しょーがないじゃない。体育祭の準備で忙しいんだから」
とか返してくるタカは、実に楽しそう。
それもそのはず。
何とビックリ! 応援団長なもんだから張り切っちゃってしょうがない。しかも、うちのクラスはチアをやるって言うんだからどうかしている。
「ねえ、本気なの? ミニスカート履くって」
「もっちろーん! あ、スカートはテニス部さんに協力付けてあるから。っても、さすがに全員分ないから、メインの綺麗所5人分だけだけど」
うん、団長抜かした4人ね。
放課後の教室は、看板作りで賑やかだ。
かなり大きいので、分割して作る。私も看板班なので製作中。
ちなみにタカは練習時間なのだが、コンポが調子悪くて待機中らしい。
「こんちー!」
「わっ」
ふいに後ろから声を掛けられて、素で驚く。
「ごめん、驚かせた? お久」
現れたのはタカの友人、坂本 真央。
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