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この車両にはほとんど人はいず、若い女性とサラリーマンがちらほらと座っている。
私は近くの女性に近づき、声を掛けた。
「た、助けて下さい!!今隣の車両で男が急に殴ってきて、殺されそうになったんです!!た、助けてっ!!」
私はもうほとんど叫んでいた。時間が経つにつれ恐怖はなぜか増していった。冷静など保てなかった。死にたくなかった。
女性が顔を上げる。
私は彼女は救世主的行動をとると予測した。
しかし
しかし彼女は私を見た途端、躊躇なく手を挙げた。
ブンッ!!
とっさに避ける。
もう一発。
鼻先をかすめて私は恐怖する。
な、なんなんだ!?
どうして…?
私はさっと後ろに下がった。
そんな私を彼女はキッと睨み、やがて何もなかったかのようにまた携帯をいじり始める。
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