殺シタイ衝動

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ただ助けを求めただけなのに… どうして、皆、殺そうとするの…? 混乱した頭の片隅にある深い悲しみ。 何も、何も悪いことしてないのに… 静かに、ゆっくりと、それは何かに変わっていく。 私は悪くない… 悪いのは、この、殺人鬼 悪いのは、この、頭のおかしい、人間、だ… 胸がポッと熱くなる。 初めて感じるそれは、憎悪。 悪くない… 悪いのはこいつ。 殺そうとしてきたこいつ。 殺されるくらいなら…勝てないなんてわかっていても… コロシテヤル 私はヒュッと女の横に近付いた。 女は携帯だけを見て私には気づいていない。チャンスだ。 首筋を狙った。 肌がむき出しだったから。 力任せにその白い肌に牙を入れる。 ドバッと血が溢れる。 初めて見る血。 舐めると旨かった。 その時気付いた。 この世に生まれてからまだ、何も口にしていない。 いや、正確には何を口にすればよいのかわからなかったのだ。 血はいくらでも出る。 私はそれを飲んだ。 空腹は満ちていった。 まだ足りない。 私は我を忘れた。 無我夢中で血を飲んだ。 不意に、辺りが暗くなる。 見上げ頭上に女の手があることに気づいた時には既に遅かった。 パァーーン!!!! 飲んだ血が腹から飛び散る。 私の体は見事に潰れ、女の手のひらにくっついたまま動けない。 死にゆく私が最後に見たのは、私を殺したのに悪びれもせず、さも嬉しそうに目を細めた綺麗な女の顔だった。
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