秋

タイシ

ハナは学校で嫌がらせを受けている。

はっきり言うと、イジメられている。

理由は知らないが、クラスの女子に上靴を隠されたり、無視されて仲間外れにされているらしい。

タイシはたまたま、下駄箱でハナと同じクラスの女子が、ハナの上靴をどこかに持っていくのを見てしまった。

直接その人たちに文句かなにかを言う度胸はタイシにはなく、上靴はこっそりタイシが元通りにした。

それから気を付けてみると、ハナがイジメを受けているらしいことに思い至るようになった。

けれど、タイシとハナは違うクラスなので、ハナをイジメから守るには物理的な困難が伴っているのだ。

けれども、タイシはハナが隣のクラスだからといってすぐに助けにいけないということを、なんだか、勇気のない自分への言い訳にも思えて、時々すごく暗くて鬱々な気持ちになる。