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けれど、タイシはハナに、
「クラスでイジメられてるの?」
などとは聞かない。
たとえ聞いてもハナはきっとイジメられていることなんて認めない。
ハナはプライドが高いのだ。
もちろんイジメられてるのがタイシだったとしても、タイシだってきっとイジメられているかを誰かに聞かれても、否定したかもしれない。
認めてしまったら、きっと一層みじめな気持ちになることは間違いないと思われるからだ。
けれども、勝手だけれども、タイシはハナに、イジメを受けていると言って欲しかった。
もしハナに助けて欲しいと頼まれたなら、タイシはなんだってするつもりだと思っていたのだ。
現実は、ハナがイジメを誰かに言うつもりなどさらさらなさそうだったし、タイシに助けを求めもしない。
「タイシにはあたししかいないんだから」
と言ってハナはタイシの頭を叩き、
誰も見ていない時には、二人は手を繋いで家に帰るのだ。
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