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「...斬る。」
シロンは怒りのあまり刀の柄を握った。しかしハヤトが彼の肩を掴んでそれを止める。
「まぁ、待つんだシロン。」
「止めるな、ハヤト。」
「はい。これを使うんだ。」
カバンから取り出した何やら怪しげな小瓶をシロンに渡す。
「猛毒薬だ。ちゃんと塗らなきゃダメだろ。」
この時、ハヤトの声がワントーン下がっていたのは、言うまででもない。
パチンッ!
「かあぁぁぁ!!」
鼻提灯が割れ、再度老人が杖を振り下ろして来た。
バシッ
「あ、あっぶね~...」
ハヤトは何と、老人の杖を白羽取りで受け止めたのだった。
おお、白羽取りなんて初めて出来たぜ。
「ぐぬぬ、おヌシなかなかやるの。」
老人は、押し切ろうと杖に体重を乗せる。しかしハヤトも負けじとそれを押し返す。
「じいさんもなかなかやるな...」
すると老人は、杖の力を緩め地面を突くと後ろを振り向いた。
「もう...ワシが教えてやれることは何もない。」
その時の老人の目はどこか遠くを見つめているかの様だったという。
「じいさん...いや、師匠!」
「何のコントなんだよ、これ...」
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