大脱走!! 9

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俺が「絶対王者」として君臨していられたのは、喧嘩がアホみたいに強かったってのもあるけど、何をするにも必ず先頭切ってたって事が大きいんだよ。 馬鹿げた事を真面目にやる。 命令するだけじゃなくて、まずは自分がやってみせる。 口先だけじゃ誰も付いてこないよ。 当時はそんな事考えもしなかったけど、そういう意味では偉大なる大バカ野郎だったって訳だ(笑) 昼飯時になって、さすがにイタドリや拾ったキャラメルだけじゃ腹がもたなくなってきた。 俺「よし!魚捕るぞ!」 俺の特技の一つに魚捕りがある。 岩の下に手を突っ込んで素手で魚を捕るんだよ。 慣れてくると、魚の居そうな岩が見ただけで分かる。 この魚の捕り方を俺の地元では「魚をししぐ」って言うの。 今の若い連中は知らないみたいだけどね。 「ししぎ」に関しては、今だに俺の右に出るヤツにはお目にかかった事がない。 この歳になった今でも、毎年 山の中の川に行ってヤマメとイワナを捕ってくるんだよ。 モリ(ヤス)も使うけどね。 大量に捕って来て冷凍保存。 それが晩酌のつまみになる(笑) 俺が一番好きなのはヤマメ(山女)。 名前が良いよな(笑) そんな俺だから、あっという間にウグイを10匹程「ししいだ」よ。 さぁ、どうやって食ってやろうか? 今日は火が無いな。 いつもなら鮎釣りのおっさんにライター借りるんだけど、ちょうど釣り人が来ないエリアまで下って来てる。 これは刺身だな! コウイチがガラスの破片を拾って来た。 俺は缶ジュースのプルトップを見つけたよ。 (昔のプルトップは缶から外して飲んだんだよな) ガラスとプルトップを使って不細工な刺身の完成。 葉っぱに盛り付けた。 ポコの葉っぱじゃないよ(笑) 新しい葉っぱ。 俺「いいじゃん!いいじゃん!」 一口食った。 ・・・ マズい!(笑) 更には臭い。 ユキヤ「醤油があればなぁ!」 みんなで一口づつ食ったけど刺身じゃ無理だ! いつもみたいに焼いて食えればなぁ。 結局、ウグイを生で食うのはあきらめた。 再び歩き出したが・・・ みんなから出て来る言葉は 「腹減ったぁ!」ばっかりだ。 さぁ、どうしようか?
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