大脱走!! 2

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ここで、ちょこちょこ登場するであろうユキヤの事を話したい。 ユキヤは、当時は家も近所で幼稚園からの幼なじみ。 小学校4年までお袋の事を「ママ」と呼んでいたような いいとこのお坊っちゃん。 俺の地元じゃ「財閥」って言われてた位だよ。 多分すげぇスケール小っちゃい財閥だけど(笑) それでも「父ちゃん、母ちゃん」と呼んでた貧乏人の俺とは対照的だった。 生まれて初めて「お誕生日会」に呼ばれたのもユキヤだよ。 世間を何にも知らなかった俺。 その頃夢中になってた「ベーゴマ」の入ったクッキーの缶を抱えてユキヤ宅へ。 ユキヤの部屋(ユキヤは自分の部屋を持っていたんだ!)では5、6人の同級生があらたまって座っていた。 ロウソクの立ったケーキ、唐揚げ、良く分かんないハイカラな料理、ジュース! 何これ!? 結婚式? 生活レベルの差を見せ付けられたよ。 6月生まれの俺の誕生日。 毎年「スイカ」1個を家族4人で分けて食う。 いつもの薄切りじゃなくてスイカ四等分。 でもホントは兄貴と俺の分を大きく切るお袋。 多分最高の贅沢だったんだろうな・・・ 並んだ料理を下品にならない様に気を使いながら腹一杯食ったよ。 「こんなに美味いメシ食ったの初めてだ!」 幸せに浸っている俺の耳に入って来た言葉。 「そろそろ『プレゼント』渡す?」 ・・・ プレゼントって何? 俺、ベーゴマしか持って来てないよ。 メシ食ったらベーゴマやるんじゃないの? こんなに楽しみにして来たのに・・・ みんなが綺麗な包装紙にリボンがかかったプレゼントを渡してる。 ・・・ 俺「腹痛ぇ!」 泣きながら帰ったよ。 ベーゴマやりたかったなぁ。
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