開始

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「オッ!? もしかして、入部希望?」 「えっ」 いきなり後ろから声が、彼らを振り向かせた。 見ると上級生だと思われる少年がこちらを見ている。 見た目はすらりとし、飄々とした雰囲気。 グローブが入った袋を見て、彼らを確信した。 「あ、ごめん。俺は近藤俊二。野球部見学?」 目の前で喋る近藤と名乗った人物。 「はい。出来れば、もう練習に参加したいです」 「マジか! それは歓迎するわ。あ、君ら名前教えて?」 ニコニコ笑う俊二を見て、2人はこの高校で良かったと思った。 「はーい! 井上慶哉、東中で2番セカンドでしたぁ」 勢い良く、慶哉が言った。 「あ、沖田翔汰です。ポジションはショートでした」 翔汰は少し緊張しつつ、答えた。 「井上、慶哉と沖田、翔汰ね」 少年は二人の顔を見比べながら自分の記憶に残るように呟いた。 その時、翔汰は抜け目ない彼の瞳が印象に残った。 「俊?」 また声がした。 「啓太!! 入部希望者やでッ」 嬉しそうに話す俊。 その相手は、後ろからひょこりと出てきた大柄で人のよさそうな少年だ。 「鮎川啓太。ヨロシクな」 慶哉と翔汰の顔を見て、彼はにこりと笑う。  
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