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目が覚めれば、目の前にミキの寝顔があった。
安心して眠るその顔は昔とは変わっていない。
「………さむ…、」
服を着ていないことに気づいて着替えようとベッドから出ようとした。
その時、ぐっと腕をつかまれた。
「ミキ、」
「どこいくの?」
まだ眠いのか、目を閉じたまま話すミキ。
…うん。
職場で女性社員に騒がれてる理由、分かる気がする。
「着替えようと思って…。」
「んー…まだいいじゃん。」
「まだって、もう8時だよ。仕事行かなきゃ」
「…いいの、ちょっとくらい遅れても」
「ミキはいいかもしれないけど、私はクビになっちゃうよ」
「大丈夫。俺がさせないから、ね」
掴まれた手をそのまま引っ張られてベッドの中に連れ戻された。
そして強い力で抱きしめられる。
少し痛いくらい。
「ミキ」
「社長命令。」
そのままミキは気持ちよさそうに寝息をたてはじめた。
もう、とミキのほっぺを叩く。
適わないと思って私もまた静かに目を閉じた。
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