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カタカタとパソコンで文字を打っていく。
月末は忙しい。
時間をちらっと見ればもう7時を超えていた。
ピタリと手を止めてグーッと背伸びをする。
フゥ、と息を吐いてリラックスする。
あ、そうだ。
ミキと約束があるんだった。
社長室に行かなきゃ。
荷物をバックにまとめて足早に自分の部屋から出た。
コンコン、とノックをする。
「失礼します。ミキ?」
名前を呼んでも返事がない。
キョロキョロ見渡しても姿もない。
…まだどこかで仕事してるのかな…。
フカフカのソファーに腰を下ろしてケータイを開く。
と、同時に電話がかかった。
ミキからだ。
「もしもし、ミキ?」
「あ。夕緋?ごめん、急にJ会社と会議が入ったんだ。夕食、行けそうにない」
「そっか。大丈夫だよ。先に帰ってるね。」
「今日は俺の家泊まらないの?」
「うん。ミキが仕事行かせてくれないから」
「ハハ。じゃあまた明日。気をつけて帰れよ」
「うん。また明日」
ピ、と電話を切り社長室から出た。
会社から出てタクシーを拾おうとしてたら、突然声をかけられた。
「あら、夕緋じゃない」
振り向くと、ミキのお母さんが立っていた。
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