12人が本棚に入れています
本棚に追加
──パタン。
私はゆっくりと"グリムの裏側"と書かれた本を閉ざした。
窓からは黄金色を帯びた光が差し込み、表紙を照らしている。
「ぁ…すてき」
さっきまでは表紙を気にしていなかったため、ちゃんと見たのは初めてだ。
そこには、赤いずきんをかぶった女の子が森の中で座りこんでいて、耳の生えた男の子が手を差し伸べていた。
表紙はヨーロッパ調の絵で、とっても神秘的。
でも二人の表情は少し悲しげで…それでもしっかりと、お互いを見つめあっている。
まれで恋人みたい…。
表紙から出入口の近くにある時計へと目を移したら、すでに針は下校時間に指しかかっていた。
その本とお目当てだった参考書を持って、私は急いで受付に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!