1.むかしむかし

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扉の先は、ピンクや黄色など暖色系で統一されていた。 今にも小動物が顔を出してきそうなくらい、メルヘンチックだ。 周りに咲いている花も珍しいものばかりで…中庭と言うより、森の中みたいだ。 私は足音をたてないように、ゆっくりと中央にある桜に向かってみた。 「……」 少しずつ近くなる人の気配。 離れたところから見てもわかるくらいに、やっぱりカクカクしている。 …そおっと顔を覗いて、すぐ帰っちゃおう。 ちょっとした恐怖感と好奇心に追われ、顔を下から覗くように傾けた。 「…ぇ、寝てる?」
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