1.むかしむかし

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「君、だれ?」 重なっていた長いまつげがゆっくり離れ、透き通っている黒い瞳が現れた。 男の子は、覗きこんでいる私をじっと見ているため、私は全く動けない。 …なんだか見下されてる感じだ。 でも、このシチュエーションにドキドキしてしまう。 ぁ、私が起こしちゃったのかな? とりあえず謝らなきゃ…っ。 「あの…」 「謝るとかはいいから、俺は君の名前を聞いてるの」 「いっ一年の坂本愛美ですっ!」 …声、裏返った…? 「あ、そうなんだ」 「……」 「っかさ、緊張しないでよ。俺も同じ一年だからさ」 思ってた事を読まれた事と、初対面なのに指摘されたという羞恥心に、心全体が溺れた。
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