1.むかしむかし

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「あーその顔は恥ずかしがってるのかな?」 さっきからされる指摘はあたっているし、男の子の声には余裕が詰まっていて、ちょっと悔しくなった。 勢いよく立ち上がって、その男の子をにらむように見た。 「そうゆう貴方は誰よっ」 「対抗心燃えちゃった?」 ほらまた…あたってる。 今度は私が見下す側なのに、羞恥心がおさまらない。 「俺は東徹だよ」 「あずま…とおる君…?」 「そうだよ、あーみちゃん」 お互いの名前を呼びあったこの瞬間が、なぜかものすごく…いとおしく思えた。 私は無意識に、握り抱えている本に力を加えていた。
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