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家に帰ると私は、早速ブレイドクロニクルオンラインにログインした。ベッドに横たわり、ネットに繋いだPSPにイヤホン型のウェーブリーダーなる周辺機器を付けた。
制服のままだとシワになるので、部屋着に着替えた。
私はウェーブリーダーを耳に付けると、ログインを開始した。このウェーブリーダーが脳波を読み取り、ゲームでアバターを動かすのだ。
スーッと落ちる様な感覚の後、私の意識はアバターに宿った。こちらのアバターも現実と同様に部屋着でベッドに寝ていた。
戦闘服に着替えると、鏡を見て髪を整える。短い茶髪に金色の瞳。現実の私とあまり差のない身体つきのアバター、ジン。実は現実の私より少しだけ胸が大きいのは内緒だ。
戦闘服は黒色の袴に胴着。胴着ははだけていて、中にタンクトップを着ている。武器である大太刀を背中に背負う。ベルトで右肩から左脇腹にかけて止めるのだ。
「さて、夏恋のことに行くか。アバターメイクも終わってるころだし」
私は自室から出て、プレイヤー達の拠点であるターミナルに向かう。
ターミナルは五階建ての建物で、様々な施設がある。プレイヤーは自室から出るとこの建物のエントランスに着く。エントランスは吹き抜けで、真ん中に噴水がある。
「あ、あれかな……?」
「おーい、夏希。ここここ」
リーザという名前が頭上に浮かんでるアバターが声をかける。可憐な深紅のドレスを纏い、レイピアを吊ったアバターだ。
夏恋の話通りならこれが夏恋のアバター。このゲームではアバターに合わせて声を変えるボイスエフェクトが使えるが、私もリーザもそれを切っており、声でリーザが夏恋だとわかる。
「早いね。アバターメイクで遅くなるかと思った」
「DPOからコンバートしてきた」
「DPO?」
DPO。ドラゴンプラネットオンラインの略。ブレイドクロニクルの前にフルダイブシステムを搭載したオンラインゲームだ。フルダイブシステム自体、そのDPOが初だとか。
「続々とDPOのトッププレイヤーがアバターをコンバートしてるよ」
夏恋の言葉に、少し私は危機感を感じた。
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