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椿は母上と同様に、父上が去って行ってしまった後すぐに塞ぎがちになり、めったに屋敷から出ようとはしなかった。
ただ、母上と違うのはその理由が『次にこの屋敷から出るのは、この家の後継ぎである私が出ていってしまう夢』を何度も見てはうなされ、徐々に精神共に体が弱っていってしまった為だ。
私はそれを聞いた時、なんともいじらしいその弟を抱きしめ、私達はずっと一緒だ。どこにも離れてなんかいかないと約束してはその日以来、寝床を供にしている。
「ここなら…にいさまも、かあさまも一緒………とうさまにも会いたいけれど、お外はこわいのです」
先程より強く首筋にしがみついてぎゅうぎゅうと締めつけてくる。
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