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時は土曜日の昼過ぎ。
真上に上った太陽が僕を照らす中、腕時計に目をやった。
予定の時間よりはまだ五分ほど早い。
ああ、周りからの目が痛い。
ちなみに周りの人ってのは皆さんカップルでいらっしゃいますよ。
僕みたいな独男じゃございませんよ。
チクショウ。
建物のガラスに写った自分の姿に目をやった。大きなガラスには僕の全身が写っている。
よれよれのシャツに履きふるしたジーパン。みよりお手製の伊達メガネは相変わらず。
どうみてもオシャレとはほど遠い。
まあ、僕のスペックじゃかっこいい服なんて着こなせないから別に良いんだけどね。
近くにあったベンチに腰をおろし、一人で深いため息をつく。
僕の不幸よみんなに移れー、ってね。
さて、ここでみんなの疑問に答えたいと思う。
なぜ僕、大沼健一がこんな休日の昼下がりに誰かと待ち合わせしてるのか?
答えは簡単。なんせ当事者ですから。
「ごめーん、待った?」
今日はデートです。
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