その名はストレイド

8/9

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「このネクスト機は一体……」 ガレージにはいつものノーマルは無かった。 セレンと二人で廃材から造り上げたノーマル「ストレイド」は、おそらく購入資金へと変わったのだろう。 しかし、ノーマル一機を売り捌いた程度では、ネクストには届かない。 前述の通り金はない。 なら奪ってきたのか。 その線も有り得ない話しだった。 セレンはAMSの影響で下半身麻痺を起こしている。 今となっては、電気信号と機械仕掛けの関節部で不自由なく歩くことは出来るが、激しい運動に耐えられるほどではない。 「安心しろ、私のお古を売って足しにしておいた」 そんな男の表情を読み取って、セレンは答える。 元々セレンもリンクスだった。 昔を語ろうとしないセレンの事は、これ以上知らない。 あの時見たネクストも、その所在は分かっていなかった。 「まぁ、その金は出世払いという事にしておいてやるさ」 強引だなと、男は思った。 しかし、それは自分に対する期待の表れであるとして受け止めた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加