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発射されたプラズマキヤノンは、白色の光を発しながら黒煙を引き裂いた。
しかし、正確でないそれは、ノーマルの腕部を吹き飛ばしただけだった。
『クソッ、もう終わりだ。俺は逃げ……』
そのレイヴンが全てを語る事は無かった。
降り注ぐHITMANの弾雨が、コックピットを押し潰し、ノーマルは動かなくなる。
『先遣隊の全滅を確認した』
セレンから業務的な連絡が入る。
『待て、12時方向に敵の増援を確認。ノーマル部隊だ、対処しろ』
そこからの展開は一方的だった。
『クソッ、やってやる。同じ人間だ、やれるはずだ!』
敵ノーマル部隊から一斉にミサイルが発射される。
視界一杯に広がる警告の文字。
全が一になるように、ミサイルは集束して迫ってくる。
ストレイドはバックブースターを全開にして、後退。
TRESORをその先端に向けて発射する。
プラズマの軌跡が描く放物線の後には、破壊され、誘爆していくミサイルがあった。
竜殺しの短刀が風を斬り、必殺のガンマンが唸りを上げる。
『敵部隊の全滅を確認。ミッション完了だ』
気が付いたら、全てが終わっていた。
『初めてにしては上出来だ。だが、あまり調子付くなよ。なにせ敵が弱すぎたのだからな』
その日、一匹の山猫が、群がる烏を刈り取った。
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