その名はストレイド

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「お前は、これからこの三つの企業の支援を得て生活していく事になる。選ぶがいいさ、お前がこれから使う機体はそれで決まる」 企業を選ぶ利点としてはいろいろあるが、第一にネクスト機の付与がある。 次いで兵器調達の簡易化、報酬額の上昇等が上げられる。 反面、それは企業の果てしない経済戦争の尖兵として生きていく事になる。 企業側としては、戦力の上昇、新兵器のデータ収集、そして優先的に企業グループの依頼を受けさせる事で、形勢を自軍へ傾ける事ができるという利がある。 セレンは男をジッと見つめる。 彼女は分かりきった事を尋ねていた。 男がどのような思考に至るかを。 「セレン、俺はどの企業にも属すつもりはない。あの時から二人でやってきた事だ、これからも同じだろう」 頬杖を着いたセレンは、ため息と同時に笑みをこぼす。 「お前なら、そう言うと思っていたよ」 セレンは車椅子を扉の方へ向けた。 「ついて来るといい、新しい機体がお前を待っているぞ」 言うなりセレンは車椅子を漕ぐ。 男もそれに続いて歩を進めた。 彼等の去った部屋は、物寂しく二人を見送った。
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