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甲高い金属音が響く。
薄暗く、無機質なニビ色の廊下をセレン・ヘイズと男は歩いていた。
足元で暗く発光するのは非常用灯の明かりだ。
男はセレンを乗せた車椅子を押して歩く。
行き先はACの格納庫、ガレージである。
重たい扉が、錆びた金切り声を上げてゆっくりと開く。
パーツを吊り上げるクレーン、バーナーやスパナ等の大小の工具、予備の装甲板と廃材。
ところ狭しと並べ置かれた中央に存在したのは、巨大な黒だった。
レーシングカーをモチーフに作られた特徴的なコア。
攻撃的な印象を与えるエッジ付きのアーム。
空力適性に優れた流線型のレッグパーツ。
頭部には赤い複眼が鈍く輝いている。
「かつてのレイレナード社の遺品であり、傑作だ。その名も03-AALIYAH(アリーヤ)。中量機、高速機動戦を意識した造りになっている」
眼前のACに面食らっている男にセレンは説明を続ける。
「現在の武装はマシンガンの01-HITMAN、レーザーブレードの02-DRAGONSLAYER、そして背中武装のプラズマキヤノンTRESORだ。内部構造についてはFCS(火器管制)以外、つまりメイン、サイド、バック、OB(オーバードブースタ)、ジェネレータはフルアリーヤ仕様だ。肝心のFCSはアクアビット社のINBLUEとなっている」
ここまで矢継ぎ早に説明を終わらせ、セレンは男に声をかける。
「ここまでで何か質問はあるかな?」
その声は少し楽しそうだった。
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