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ー幸代ー
夫、朝長成張の葬儀を済ませた後、幸代は保険会社に向かった。
「保険金下りないの!?一円も!?」
幸代は窓口のカウンターをどんと叩いた。
窓口の係は冷静に言った。
「ご本人が解約されました」
幸代は食い下がった。
「本人は寝たきりでここに来てないはずなのよ?」
窓口係はまた冷静に言った。
「ご本人の、拇印があります」
そこには朝長の拇印が確かにあった。朝長はプレドニンを大量摂取し、探偵松本に車椅子を押されながら、保険の解約に廻っていたのであった。
幸代は落涙しながらも、
「そんなはずはないわ、インチキよ!インチキよ!」
と言いながら別口に設けてあるはずの保険会社も確認するため、外へ出て行った。
自動ドアを抜けると、2人の背広姿の男達に道を阻まれた。幸代は踵を返したが、また別の男2人が、現われ、幸代は囲まれた。
探偵松本による通報であった。
崩れ落ちる幸代を、4人の刑事達は容赦なく拘束した。
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