4人が本棚に入れています
本棚に追加
最初は気味悪がっていた智也も、
その瞳が悲しそうだって話すと、首を傾げた。
「はあ?
何だよそれ、何かあるわけ?」
「知らねーよ、話したことないんだから。
でも、なんか気になって…」
「なんだよ、良い女なのか?」
智也は身を乗り出して、わくわくと聞いてくる。
「ばっ!
そんなんじゃねーって!!」
「はは、悪い。
分かってるよ。
でもお前、結構ハマってんな」
訳の分からないことを言い捨てて、智也はビールを煽った。
「は?」
怪訝な俺に、智也は意地の悪い笑いを向ける。
「だって、悲しそうだとかパッと見わかんねーって」
「そうか?
直感でなんとなく…」
悲しそうっていうのは直感だった。
実際、その女のことを詳しく知らないんだから分かるはずもない。
智也は、ニヤッと笑った。
「気になってんだろ?」
「…………。
視線と悲しそうな理由がな」
楽しそうな奴に釘を刺すように、ジトっと見返す。
「ふはっ!
それでも十分恋だっての」
智也は噴き出すと、ケタケタと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!