視線

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最初は気味悪がっていた智也も、 その瞳が悲しそうだって話すと、首を傾げた。 「はあ? 何だよそれ、何かあるわけ?」 「知らねーよ、話したことないんだから。 でも、なんか気になって…」 「なんだよ、良い女なのか?」 智也は身を乗り出して、わくわくと聞いてくる。 「ばっ! そんなんじゃねーって!!」 「はは、悪い。 分かってるよ。 でもお前、結構ハマってんな」 訳の分からないことを言い捨てて、智也はビールを煽った。 「は?」 怪訝な俺に、智也は意地の悪い笑いを向ける。 「だって、悲しそうだとかパッと見わかんねーって」 「そうか? 直感でなんとなく…」 悲しそうっていうのは直感だった。 実際、その女のことを詳しく知らないんだから分かるはずもない。 智也は、ニヤッと笑った。 「気になってんだろ?」 「…………。 視線と悲しそうな理由がな」 楽しそうな奴に釘を刺すように、ジトっと見返す。 「ふはっ! それでも十分恋だっての」 智也は噴き出すと、ケタケタと笑った。
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