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「誰だ!?」
そう叫び、ソファーから立ち上がったシドは同時にジャケットの裏側に隠していたナイフを男に、目にも止まらぬ早業で連続で投げた。
それは通常のナイフと異なる投げる事を前提に作られたナイフで取っ手の部分が省かれた、スローイングダガーだった。
スローイングダガーは男の身体の皮一枚分のギリギリの所を通り過ぎドアに刺さった。
そして、シドと同じく動いたレモンは、腰に下げていたショートソードを抜くと同時に男に素早く接近して剣の刀身を男の喉元につく寸前で止めた。
もしレモンがそこから剣を少しでも動かせば男の首と胴体は永久に別れを告げる事になったのは明らかだった。
「あんた何しに、ここまで来たの?」
レモンの問いに男は引きつった表情で答える。
「オッ…オレは…合成を頼みに来ただけだ…。頼むから命だけは助けてくれ…」
「なんだ、そうなんだ」
男の言葉に納得したレモンは剣を引き鞘に納める。
「ちぃ、おどかしやがって!」
シドは捨て台詞を吐き、再びソファーに座る。
「じいさん、何か今日は取り込み中の様だからまた後日に改めて頼みに来るよ!またな!」
「むぅ、今日はちと忙しいのでな、すまぬがそうしてくれ!」
男は早口で店主に言葉を掛けると、逃げるように早足で去って行った。
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