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それは俺たちがまだ十四そこらのガキの頃──。
「やいやいやい!悪名名高き冷酷非情な女王──楠葉 霧(くすは きり)!今日がお前の命日だぜ!」
腕を組み、堂々と言い放つは学校指定の制服を着用した青年──榊原 潤(さかきばら じゅん)。
彼はまるで悪者に正義の鉄槌を下すかの如く、目の前の少女に言い放つ。
潤の視界の先──そこには一人の少女がいた。
「お、お前ら......ただじゃ済まさないわよ!」
“何故か手足を縄で縛られて”
先に断っておくと、彼は犯罪者ではない。
女の子を縄で束縛するのが趣味とか、彼女を誘拐して親族から身の代金を要求しようとかいうのでは断じてないのだ。
ここまでに至った経緯は簡単。
それは、
「ぬっははは!浅はかなり、楠葉 霧!まんまと俺の策略に引っかかりよって。氷の女王もたいしたことないな──敵の施しを何の抵抗もなく受け取るからそうなるのだ!」
「あんたがしつこく媚びを売っては私に食べ物を進めるからでしょうが!この犯罪者!まさか、食べ物に睡眠薬を混ぜ込むなんて......!」
「ほう、負け惜しみかね?だが、しかし!俺にとっては睡眠薬などお手の物。なんせ家が病院だからな、薬をちょろまかすなど造作もない!(犯罪です)」
何故さ誇らしげに言う潤だが、誰しもが思うとおり完全に犯罪スレスレであることは間違い無い。
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