僕は君に心を。

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先日、というか一昨日の深夜2時38分。 成田家に長男が誕生した。 その直後、まだ仕事根詰め状態で会社でパソコンに向かってた私に、鼻水じゅるじゅる鳴咽えぐえぐの汚らしい成田さん家の旦那さん、慎から電話がきた。 え?生まれた?へぇ、おめでとう、よかったね。そう在り来りなコメントを述べた私に、慎はじゅるじゅるのえぐえぐで、ありがとうと何回も言って、今から会いたいなんてとんでもねぇことを言ったもんだから、死んでしまえと言って通話を強制中断してやった。 パソコンと長時間睨めっこしていた眼球はしぱしぱするし、まだまだ終わりそうにない仕事の山には諦めの溜息が出た。 それなのにそれなのに、私はアイツの電話ひとつで残業も切り上げて、アイツがいるはずの産婦人科のある場所までタクシーを走らせてしまうのだ。 あぁ、嫌だ嫌だ。馬鹿みたいじゃないか。どーせ慎は、あぁ、由佳。本当に来たんだ。なんてあっけらかんと言うに決まってるんだ。 わかってるのにタクシーの運転手さんに、急いでくださいなんて余裕なく言ってしまう自分にとんでもなくイライラした。 そんなこんなで、私の知らぬ間に、アイツは一家の大黒柱になったのだ。
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