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「だから、由佳。名前をつけて?一生大事にさせるから」
「…………」
あぁ、どうしよう。
一生大事に、なんて。
嬉しいよ、嬉しすぎるよ。
だって、私が確かに、慎の子供のなかに形を残すんだ。私が、慎の子供のなかに。
「…あとから文句言ったら怒るよ」
「あは。ありがとう、由佳。かっくいい名前つけてあげてね」
「うん」
それは確かに、愛しい証になる。
私が、慎を好きだったっていうことが形に残るんだ。たとえそれが私のなかでだけだったとしても、ね。
それだけで、もう、十分。
「しあわせ、だよ」
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