花魁譚

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あかく照らすは蠱惑(コワク)の 月籬(マガキ)の外 彼岸花バなびらバラ 廓の内繋がれては 病むに止まれぬ世は無常 花魁道中 高が夢 然(サ)れど夢 毒の日々 散りぬ紅葉(クレハ) 地ノ獄ハ其(ソ)ノ先ニ 栄華(エイガ)極めし手招く影 悦目(エツガン)で誘い笑う欲 くるりくるり眩(クラ)めきんず 散らし散らされる明ける夢 花魁道中 似非化粧(エセケワイ) 艷(アデ)の談 秘(ヒ)し隠しで奏で舞う 涎(ヨダレ)塗(マミ)れの 狗(イヌ)の口元に ひらりと人差し指を付けて 煙管(キセル)燻(クスブ)らせ 蜜の囁きで 廓詞(クルワコトバ) の糸を張り巡らし 仮初(カリソ)めの愛に みだれ媚態(ビタイ) 石榴の果肉は憂い熟れて ざくりと爛漫(ランマン) 一夜限りの契りを舐めり 貪り突く馴染みを 手練手管(テレンテクダ)熟(コナ)し 「感情」は棄て「勘定」に欺く 魔境の誇り蠢(ウゴメ)く影 浮かべと沈み品定め ゆらりゆらりら揺めきんす 絆(ほだ)し絆され匣(ハコ)の中 花魁道中 似非化粧(エセケワイ) 艷(アデ)に談(マ)う 秘(ヒ)し隠しで奏で舞う 現(ウツツ)こそ夢 夢は幻 幻こそ現宵狭間(ヨイハザマ) 男は極楽 女は地獄 猩々緋(ショウジョウヒ)の 鱗(ウロコ)を身に纏(マト)いて 仮初(カリソ)めの愛に みだれ媚態(ビタイ) 石榴の果肉は憂い熟れて 夜半(ヨワ)に轟(トドロ)いて 聞こゆるは 半鐘(ハンショウ)の音か 一層の事に総(スベ)て 紅蓮に染めなして 今宵もあっちは「春」を売りんす 安堵(アンド)の焔(ヒ)に包まれて 捨(ス)つるは浮世(ウキヨ)の 柵(シガラミ)か
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