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――なんだコレ……なんなんだ、反抗期はやめろよ、早く、どうなっちまってんだよ俺の未来予知、おい、おい、……………………駄目だ、発動できねえ……。
焦燥感と緊迫感。
2分経過した。瞼の裏は多数の色がなんとなく混じっているだけで、未来の樹形図なるものは出てこない。
5分経過した。耳に入る情報と言えば風鈴の音と膝元の幼女のすぅすぅという寝息。
10分経過した。
「何で……。ああああああっ、俺は、俺は王立東京帝王大学高等学校略して東帝の男だぞ!? 何でだ! 何でスラム街のゴミよりもカスみたいな……ッ!」
ここまで千鳥が取り乱す理由。
もしこの状態が永久に続くのだとしたら。
“未来予知の格差社会”であるこの世界で生きるには致命的なのである。
天国から地獄へ。社長から雑用へ。神から奴隷へ。
確定されていた最高が予想外の最悪へ。
未来予知を失った自分の未来に、灯り等あるものか。
「う、うぅ、むにゅぅ……」
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