「いきなり終わりにするなよ阿呆が」

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 突風。  今日は梅雨前線による大雨というだけで風は全く吹かない筈なのに、その理屈を無視して“吹かされた”ハリケーン並みの風圧。  全身を押す巨大な風圧が兵士達の体を問答無用で巻き上げていく。  兵士達が氾濫している川に落とされるまでの悲鳴は完全に雨音にかき消された。 「まぁてめぇ達じゃ“アイツ”を捉える事ァ無理だったろうよ。ヒーロー気分のまま死なせてやった俺優しいーっ!」  僅かに凹凸する川の水面に見え隠れする人の一部を見ながら傘をさした黒いスーツ姿の男は悦に入っていた。 「しかしあの馬鹿共のせいで“アイツ”見失っちまったな。がいくら“法則ディスってる化物”っても飯食わなきゃ死んじまうんだからどっかで足着くだろ?」  男の思考にはあの少女が溺死なんてしないと確信しているらしい。  そんな少女だからこそ、彼が呼ばれたのだ。 「さーて、面倒臭ぇが仕事仕事、お国の為にあの童女探し出して殺さなきゃなぁ?」  川沿いの住民は全て避難を完了していて、この日の死者であるパトロール中の兵士達5人が2日後水を吸ってブクブクに膨れ上がった状態で浮かんでいるのが発見された。  だが10代前半の少女の溺死体が発見されたという情報は遂に上がらなかった。
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