都市伝説「オチャカナ」

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祖父が寝付いた後もわたしは寝つくことができず、悶々としていました。 そうしているうちに、またあの気配を感じ祖父を揺り起こしました。 「オチャカナ、オチャカナ。 ワタチノオチャカナヲカエチテオクレ……」 今度は祖父もあの声を聞いたようでした。 祖父はよほど肝が座っていたのか、孫の前で臆するわけにはいかないと思ったのか、 「もう無いわっ! わしと犬とで食ってしまったわい!」 と怒鳴りつけると銃に弾を込め始め、外へ出て撃ち殺そうとしました。 暗いこともあってか銃は当たらなかったようでしたが、追い払うことは出来ました。 「いけっ!」 森に逃げ込んだ生き物に向けて、祖父はシロとクロをけしかけました。 犬達は吠え立てながら木立の奥へ走りこんで行き、その鳴き声は 次第に遠のいていきました。
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