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あたしが相手が悪代官だということも忘れて、まるで子供のように吉田の胸に甘えていた、その時。
「晋作さん!! しっかりして下さい!!」
滝の叫び声が聞こえた。
あたしはびっくりして、慌てて吉田から離れる。
声は岩の向こうから聞こえていた。
吉田がすっと立ち上がる。
あたしも慌てて立ち上がると、声の方へ歩いて行く吉田の後を追った。
岩の向こうでは褌の尻集団んんん!!
何事?!
あたしは思わず後ずさってしまう。
「どうしたんだ」
吉田が声をかけると、褌の尻・・・じゃなくて奇兵隊士は道を開けた。
「高杉さんが!!」
皆口々にそう言う。
褌の尻の輪の中央では、滝が必死で横たわる晋作に呼びかけていた。
久坂はさすがに医者らしく、胸を叩いたり治療らしきことをしている。
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