壱ノ変

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「つばめ! 温泉はいいなあ!」  ご陽気に温泉宿のあがりかまちで、草鞋を脱ぎながら笑う晋作。 「温泉はな。でもなんでお前らと来ないといけないんだ?」  あたしはじろりと長州エロ菌感染者をにらむ。  晋作、桂、伊藤。  長州エロ三英傑勢揃いじゃねえか。  吉田がいない隙に、嵐山の温泉宿へ行こうと言われ、温泉につられてあたしはつい来てしまったものの、この面子を見て激しく後悔。  最初は晋作と二人だけの予定だったのだが、暴走した時の止め役として伊藤を引っ張って来たら、何故か桂までくっついて来てしまった。  ああ、めんどくせぇ。 「つばめは嵐山は初めてかい」  桂にたずねられ、 「はい」  と気のない返事をする。 「俺も初めてだ」  伊藤が嬉しそうに言う。  あたしは全然嬉しくないけどな。  でも来てしまったものは仕方ない。  こうなったらひとり優雅に温泉を楽しむのみだ。
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