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「あれほど言っただろう。沖へ行くなと」
真夏にブリザードッ!!
寒いッ。
凍えるように寒いッ。
せっかく温まったと思ったら逆戻りィ!!
「すすすすすすすみませぇんんんん」
ひえぇぇぇと叫びたい気持ちを懸命に堪え、あたしは必死で謝った。
と。
ぎゅ
ん?
ぎゅ?
いや、ぎゅってかぎゅうぅぅぅ!!
まるで締め落とされるかのような強い力で、あたしは吉田の胸に引き寄せられ抱きしめられていた。
なななななななんでぇ?!
とくとくとく。
少しだけ早い吉田の鼓動が聞こえる。
あたしの頬にしずくが落ちた。
濡れた吉田の頬から落ちたのか。
「無事で良かった」
低い囁き。
ああ、心配かけたんだな。
あたしの胸が罪悪感できゅっと痛む。
「ごめんなさい・・・・・・・・助けて下さってありがとうございます」
吉田の手の力が強くなる。
あたしは体の力を抜いた。
この暖かい胸に、今は身をゆだねていたい。
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