壱ノ変

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 二体目を成敗し、残るは一体。  しかしこいつは手強そうだ。  いや、もろりのことじゃなくて、桂めんどくせぇ小五郎だから。 「これでゆっくり出来るね」  あたしがはっと気付くと、桂はいつの間にか間合いを詰めている。  しかもあたしの攻撃の届かない距離でゆったりとしている。  やるな。  さすが桂。  エロ馬鹿のようにストレートに来なければ、ムッツリのようにあわよくばを狙わない。  あくまで慎重に、しかし確実に狙って来やがる。  さすがというべきか。 「つばめも一杯どうだい」  いつの間にか桂の前には熱燗セットの乗ったお盆が浮かんでいる。  用意周到ォォォ!!  このまま酔わされてもろりの餌食膳用意されてるゥゥゥ?!  何で脱衣所に行かなかったんだ。  何であたしは脱衣所に逃げずに湯に飛び込んじまったんだ。
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