■ちくわ部 一年前。

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  大方、同じクラスになれた友達にでも報告しているんだろうけど……待ってる側からしたらなかなかに迷惑。 待っているのはこちらの勝手だし、向こうも案外突っ切ってくれても構わないと思っているのかもしれない。 しかしこちらが入学したての後輩である以上、思い切った行動に移るには少しばかり時期が早い。 逆に、そうして内輪で広めてもらえりゃクラス分けを見ずにクラスを知るのもいるわけで、とポジティブに捉えることにした。 まだまだ時間はあるし、そのうち空くだろう。 せっかく余裕をもって来たのにこんなところで立ったまま待ちぼうけを喰らうことへの不満は、考えないことにした。 と、そう思った矢先のこと。 おそらくは部活用のものと見えるどでかいバッグをしょった女子軍団が一斉に下駄箱へ向かう。 人の塊に『穴』が空いた。 チャンスとばかりに動き出す一年生。 なんだか学院内の無言のヒエラルキーが見えるようだ。 まあ、入学したてでみんな不安だからってのもあるだろうけど。 一年の頭からコケるなんて文字通りの悲劇なわけだし。 そういえば……部活、かぁ。 この学校、入部必須だったっけ。 部活推薦だろうとそうでなかろうと関係なしに。 何入るか全然考えてねーや。 家から学校は遠いし……できたら楽な部活がいいけどどうするかなぁ。 そもそも部活中心のこの学校に、楽な部活があるかどうかなんて分からないけど。  
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