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犯人は、まさかの女子だった。
快活そうなショートボブの髪を揺らし、悪びれた様子なくただにこりと口角を上げている。
岡野より身長は低いものの、そもそもの岡野の身長を考えると……俺より高そうだ。
「最初からツンケンすんなって。何あがいても一年同じクラスなんだしさ?」
白い歯を覗かせてにかっと笑ったそいつは、名札によると『小鳥遊』。
なんて読むんだこれ。
「……友達選ぶ権利くらいあんだろ。オトコオンナ」
といっても絡む気のない奴の名前を急いで覚える必要はない。
この小鳥遊とかいう奴も俺の中でブラリ行き。
読み方は分からずとも、字面さえ覚えていれば充分だろう。
「うわ冷たぁい。……名前読めない。ことりあそび……?」
岡野は一言俺を非難すると、矛先を小鳥遊に変えた。
それはありがたいが、この場から離れずに会話を続けるな、鬱陶しい。
「タカナシだよ。鷹が無しで、小鳥が遊んでいられる、小鳥遊」
「ほへー! 面白い苗字っ」
タカナシって読むのか。
確かに面白……っていや違う。
邪魔だこいつら鬱陶しい。
岡野も岡野で『ほへー』ってなんだ、アホか。
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