■ちくわ部 一年前。

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  犯人は、まさかの女子だった。 快活そうなショートボブの髪を揺らし、悪びれた様子なくただにこりと口角を上げている。 岡野より身長は低いものの、そもそもの岡野の身長を考えると……俺より高そうだ。 「最初からツンケンすんなって。何あがいても一年同じクラスなんだしさ?」 白い歯を覗かせてにかっと笑ったそいつは、名札によると『小鳥遊』。 なんて読むんだこれ。 「……友達選ぶ権利くらいあんだろ。オトコオンナ」 といっても絡む気のない奴の名前を急いで覚える必要はない。 この小鳥遊とかいう奴も俺の中でブラリ行き。 読み方は分からずとも、字面さえ覚えていれば充分だろう。 「うわ冷たぁい。……名前読めない。ことりあそび……?」 岡野は一言俺を非難すると、矛先を小鳥遊に変えた。 それはありがたいが、この場から離れずに会話を続けるな、鬱陶しい。 「タカナシだよ。鷹が無しで、小鳥が遊んでいられる、小鳥遊」 「ほへー! 面白い苗字っ」 タカナシって読むのか。 確かに面白……っていや違う。 邪魔だこいつら鬱陶しい。 岡野も岡野で『ほへー』ってなんだ、アホか。  
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