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交遊関係を選り好みするなとの天の啓示か否か。
ここから抜け出して、気の合いそうなグループに混ざるというのは不可能そうだった。
しかしそれも『今は』の話。
少し我慢すれば……こいつらから開放される。
担任が入ってきて岡野も小鳥遊も席に戻って。
全員分自己紹介が終わって。
諸連絡も軽く済まされて。
あとは帰るだけ、のはずだったのに。
この日、逃げるように直帰しようとしたことが、俺の高校生活を決定付けることになるなんて……誰が予想しただろうか?
さて、話を戻そう。
放課後、明らかに岡野が俺に絡もうとする素振りを見せたので――逃げた。
他のまともなクラスメイトとの接点を作りたかったし、大抵の奴らはそうしていたが……そこで岡野に捕まってしまったんじゃパーになる。
まずあいつにゃ俺を諦めてもらわないと。
あとは部活も探さなくてはならないが、別に急ぐ必要もないだろう。
興味のある部活は多いし、仮入部期間だって一週間はある。
その間にいくつか見学して、一番楽そうなところにでも入ればいい。
そう考えながら下駄箱で靴に履き替えていたとき、ふと声をかけられる。
「そこの一年生くーん。直帰?」
明るく、芯が通った声だった。
その方に振り向くと、黒いロングヘアの女子生徒がにこにこと笑いながらこちらを見ている。
リボンタイの色は緑で……緑って、何年生だっけ?
一年生が赤だから、先輩であることは確定だ。
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