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「フフフッ。
危ない技ですねぇ。
しかし、私は氷くらい水で溶かせますよ」
アースがそう言ったとき、フリーズの姿は見当たらなくなっていた。
「お前に使うのがもったいないが…この技で終わりにしてやる」
フリーズの声だけが、部屋に響いている。
その間、アースは周りをキョロキョロと見回していたものの、フリーズの姿を確認することが出来なかった。
「…“氷天華”(ひょうてんか)」
するといきなり、床から生えてくるように百合の花の形をした氷がいくつも出現し、一瞬にして部屋一面を百合の花で埋め尽くした。
「気をつけろよ。
この百合の花は、そこらの刀よりも切れ味良いぞ」
この時やっと、アースはフリーズの姿を確認した。
フリーズがいたのは、遥か50m上の天井。
どうやら、天井に凍りついていたようだ。
足の裏を天井につけ、足と天井を凍らせて逆さまのまま宙吊りのような体制になっている。
「…散れ」
フリーズが呟いた瞬間、百合の花びらが四方八方に散らばる。
その光景だけは、まるで満開の桜の花が散るような美しさ。
しかし、技の効果はとても酷いものであった。
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